紙には、和紙と洋紙がある
何が違うの?
大きく分けて、
使用目的と発展、原料、製造方法が異なります。
使用目的と発展の違い
和紙 = 筆と墨の適正と、耐久性を求めて発展した紙。
写経の書写や、書物、巻物、絵画など、
筆と墨を使って手描きで記録するための紙として発展してきました。
また、平安時代には薄くて強い和紙を求められ、日本独自の「流し漉き」の技術が生まれました。
洋紙 = 印刷適正と、大量印刷を求めて発展した紙。
活版印刷の発明にともなって、大量印刷を行うためのものとして、製法が発展しました。
原料の違い
和紙の代表的な原料:楮、三椏、雁皮、麻
繊維の平均長さ:
楮は 7.3 mm、三椏は3.2 mm、雁皮は 5.0 mmと、いづれも和紙の繊維は洋紙に比べて、長くて強靱。
そのため、薄くて通気性の高い紙を作れます。
洋紙の代表的な原料:バージンパルプ、古紙パルプ、非木材パルプ
バージンパルプ
・木材のみで作られたパルプ
・パルプは、針葉樹、広葉樹の2種類に分けられる。
古紙パルプ
・新聞や雑誌、段ボールなどのリサイクルによって作られたパルプ。
・ほとんどの紙は、古紙パルプとバージンパルプを組み合わせて作られている。
非木材パルプ
・針葉樹、広葉樹以外の植物繊維から作られたパルプ。
・木綿、竹、ケナフ、バガス(さとうきび)などがある。
繊維の平均長さ:
針葉樹パルプは2.3 mm、広葉樹パルプは 1 mm、
木綿パルプは1.5mm、バガス(さとうきび)パルプは1.6mmと、和紙の原料に比べて、短い。
そのため、和紙のように表面に凹凸が少なく、密度の高い紙を作れます。
製造方法の違い
和紙の製造方法
和紙には大きく分けると3つの工程があります。
・煮熟(しゃじゅく): 繊維を抽出しやすくするために原料を加熱処理すること
・叩解(こうかい) :抽出した繊維をたたいて細かくすること
・抄紙(しょうし): 細かくした繊維をもとに紙をすくこと
和紙の場合、製造過程で原料となる繊維を痛めることが少ないため、紙をすくときに繊維同士がよく絡んで強度が上がり、保存性が高くなります。
洋紙の製造方法
洋紙の場合は大きく分けて4つの工程があります。
・パルプ化:原料から繊維を抽出する工程
・調成:繊維を細かくして薬品を調合する工程
・抄紙:繊維を結合させる工程
・仕上げ:表面を滑らかにするなどの加工をする工程
繊維を短くした上で薬品を使って結合させるため、紙の劣化が和紙より早くなります。