滲み止めが施されていない紙は、水分が染み込むと柔らかくなり千切れてします。
それは紙が「生」の状態であり、滲み止めの薬品が付与されていないからです。
紙を自分で作った事がある方であれば分かると思いますが、
自分が作った紙が市販で売られている紙と何か違うと感じる一つの要因は、
滲み止めが施されているかどうかだと思います。
今回は、滲み止めを施す方法を紹介します。
滲み止めとは
紙への水やインクの滲みを防ぎ、紙に耐水性を持たせます。
紙漉きの世界では滲み止め作業の事をサイジングと言い、使用する薬品をサイズ剤と言います。
サイズ剤について
サイズ剤には大きく分けて2種類あり、ロジン系サイズと中性サイズがあります。
ロジン系サイズは、松脂と硫酸バンドを組み合わせたサイジング方法です。
紙漉きの現場では主にロジンサイズを主流の方法として使用されています。松脂を水蒸気蒸留して得られる物質をロジンといい、このロジンを紙に定着させるために硫酸バンドを用います。
抄紙pHが4~6くらいの酸性領域であるため、硫酸バンドから生ずる硫酸イオンによって変色・劣化しやすく、保存性が劣ります。
中性サイズは、紙を中性~弱アルカリ性にすることで酸化を防止しするという考えに即したサイズ剤です。
抄紙pHが7~8くらいなので、紙の保存性や耐久性は酸性紙に比べ優れたサイジング方法として定義されています。
サイジング行程(ロジンサイズ剤)
1.
原料をミキサーで撹拌します。
2.
サイズ剤を0.2〜3cc入れます。
入れすぎると泡が出てしまい、紙漉きの工程で影響が出るので注意して下さい。
3.
撹拌します。
15〜30秒くらいで大丈夫です。
4.
硫酸バンドを入れます。
サイズ剤同様、0.2〜3cc入れます。バンドを入れる事で、ロジンが紙に定着します。
入れすぎると、繊維自体が凝縮してしまい、紙漉きの工程で原料が解れなくなってしまうので、注意して下さい。
5.
15〜30秒くらい撹拌して完成です。
サイジング行程(中性サイズ剤)
1.
原料をミキサーに入れます。
2.
中性サイズ剤を0.2〜3cc入れます。
サイズ剤の量によって滲み具合が変わりますので、自分が望む紙に合わせて量を調整して下さい。
3.
原料をミキサーで撹拌して完成です。
試験紙で確認する
試験紙を採って、自分が望む滲み具合を確認しましょう。
確認の方法は、水を垂らしたり、浸してみたりして下さい。
試験紙の採り方は、ネリを入れずに写真のように少量の原料を漉き網に流して下さい。
流し終わったら、布の上に漉いた原料を広げ、アイロンで乾かし完成です。
弱サイズ
中サイズ
強サイズ
サイズ剤の量によって、滲み方が変わります。
弱サイズでは、すぐに水が浸透していきますし、
中サイズでは、ゆっくりと浸透していきますし、
強サイズでは、ほとんど水が浸透しない紙になります。
色々試して、自分が作りたい紙のサイズ量に調整して下さい。