和紙にも色々な種類の紙がありますが、
やはり和紙といえば、大礼紙や雲龍紙のような繊維を模様にした紙を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
普段、日常生活で使用している洋紙と比較される和紙の最大の特徴は、なんといっても繊維の長さです。
その繊維の魅力を活かした紙は、和紙の魅力の一つだと思います。
そこで今回は、繊維を模様にした紙の作り方を紹介します。
準備する物
原料:楮
使用する原料は、以前の記事で赤く染めた楮を使用します。
ネリ
・ミキサーに水500mlを入れ、ネリ剤を約0.2g入れる
・1分程度、ミキサーをかける
・1日ほど放置し、粘剤が全て溶けて透明な液になれば完成。
硫酸バンド
バンドは主に凝集剤で、繊維同士をまとめる効果があります。
使用するバンドは市販で販売されています。
・粉末
・アルミナ17%以上
これを水100mlに対してバンド1gを入れ、水溶液にします。
バンドが全て溶けて透明な液になれば完成。
※バンドは強い酸性ですので、使用する時は手袋をつけて作業して下さい。
模様となる繊維を作る
1.
容器に原料と水を入れ、混ぜていきます。
※徐々に水量を足していくので、最初の段階では、水の量は容器の半分くらいにして下さい。
2.
バンドを入れ、繊維を凝集していきます。
量は、一滴くらい。ほんのちょっと入れるだけても繊維が凝集するので、入れ過ぎに注意して下さい。
3.
ネリを少量加え、混ぜていきます。
4.
ひたすら混ぜていくと、繊維がまとまっていき、水中で生き物が泳いでいるように見えてきます。
5.
混ぜても繊維の大きさが変わらなくなってきて、
繊維が自身の望む形や大きさになれば、再度ネリをいれて水量を上げてゆっくり混ぜれば完成です。
失敗例
バンドとネリと混ぜ方によって、
・繊維の大きさがバラバラになったり、形が汚くなったりします。
・バンドを入れすぎると白く濁ってネリが効かなくなったりします。
紙を漉く
1.
地紙を漉きます。
・原料は針葉樹パルプを使用しています。
2.
水分が引くまで待ちます。
3.
先ほど作った繊維を流します。
・流す繊維の量は自分の好みに合わせて調整して下さい。
・少量だけで良い場合は、必要な分を別の容器に移し、ネリと水を交ぜた「ネリ水」で傘増しして繊維を流して下さい。
4.
漉き終わったら、乾燥させて完成です。
完成
まとめ
模様にする繊維を作るのはとても難しいですが、自分が想像していたものと違った模様になる偶然性が面白くもあります。少しでも参考になれば嬉しいです。